風化
2019/06/21 更新
 禁止薬物騒動に揺れた競馬業界。15、16日の中央競馬では156頭が競走除外となったほか、全国各地の地方競馬にも波及した。競馬にあまり詳しくない知人からは「ドーピング問題で大変なことになってるね」といった連絡が当方に入ったりもしたが、『禁止薬物』というワードが強烈なだけに競馬をよく知らない人の中には記事のタイトルだけをみて誤解している人も多いようだ。改めて整理すると、今回の事案は競走馬を管理する厩舎が意図的に禁止薬物を投与したのではなく、以前から厩舎関係者の間で使われているカルシウム剤(飼葉に混ぜて競走馬に与えるサプリメント)に原料もしくは製造工程の中で禁止薬物に指定されているテオブロミンが誤って混入してしまい、さらにその製品が競走馬理化学研究所の検査を受けずに販売されていたことが問題となっている。本来であれば製造ロットごとに検査を受けることになっているが、今回陽性だったロットは検査を経ずに販売ルートに乗っていた。
 2014年12月には新馬戦で1着となったピンクブーケ号がレース後の検査で禁止薬物のカフェインが検出されて失格となる事案があった。その後の裁定委員会において発表された再発防止策には「販売者・製造者等に対し、ロットの考え方を徹底し、ロット毎の薬物検査と適正な管理を行うよう指導する」との記述があるが果たして5年が経った現在でも指導・管理が徹底されていたのか。ピンクブーケの事案と今回の事案はともにJRAファシリティーズが当該飼料添加物を販売していたという共通点がある。再発防止策にはこうも記されている。「違背した販売者に対しては、本会施設内での営業を禁止する」。トレセン内にあるJRAファシリティーズの販売店が営業停止になると厩舎関係者も不便になるだろうが、前回の教訓が全く生かされていなかった現状を踏まえると、毅然とした対応をとらなければいけない。