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2019.03.18更新

「新時代への望郷」

 平成の終焉が秒読みに入った。4月1日、新元号発表。おそらくすべての日本人が固唾をのむ瞬間(たぶん正午?)になるのだろう。漠然としてはいるけれど、興味を通り越した期待と不安、さらにいえば緊張感。もっとも某調査会社による予想ランキングでは、@安久 A安永 B安始 C栄安 D安明…上位すべて「安」の字が絡んでいた。以下、「永」「和」「明」「久」。なごやか、おだやか、変わりないことがみんなの願い…ひとまずそんなイメージを描けばホッともできる。

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 昭和最後の日を思い出す。64年1月7日、昭和天皇崩御。長く病いが伝えられ、愛国精神など縁遠い記者でさえ、どんより重い空気を感じていた記憶がある。崩御は早朝。その8時間後に小渕恵三氏(官房長官)が、色紙(?)を手に現われた。「新しい元号は――平成であります」。へいせいという語感。初耳、第一印象は正直うすぼんやりとマヌケだったが、今思えば悪くもない。ゆったりたおやか。当時、新元号は「天昌」「修文」が有力だったらしい。中でなぜ「平成」かは、天昌=T、修文=Sは、イニシャルが大正、昭和とカブるため。ともあれその一週は開催中の川崎競馬打ち切り。わが地方編集部は大掃除、資料整理にいそしんだ。終了の夕刻、親友だった栗原正光(小林担当TМ・故人)と痛飲、元号を超える二日酔い…も覚えている。

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 昭和から平成。 記者は数字上、昭和を35年、平成を30年、ほぼ同じ時間軸(量)を綿々生きてきたことになる。ただし実感となるとかなり違う。昭和はそれなりに濃密で、対して平成はあっけなかった。昭和の1年間は、平成の5年間、そんな感じ。もっとも記者・昭和64年(平成元年)は35歳、以後30年転がってしまった気分は、年齢と環境、さらに惰性が大きいかもしれない。毎日、予想して能書きをこしらえること。365日、競馬場に出かけてレースを見ること。もちろんせっせと馬券を買って、その都度自分を確かめること。自己嫌悪の日々が正直多く、それでも戦い済んだ立会川駅、南浦和駅などでしばしば思った。競馬とはギャンブルとは、まさしく人生の縮図でありエールであると…。楽しかったし今でも楽しい。だから平成の日々、不満というわけではけっしてない。

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 寝言は寝て言え…そんな展開になりそうだから話を変える。昭和の怪物、平成の怪物について。ネット検索、語句をそのまま打ったら、昭和=江川卓、平成=松坂大輔がいきなり出た。記者含め日本人の多くは、やはり野球偏愛症かもしれない。さておきこの2人には、実績、記録を超えた、“怪物としての資格”を感じる。上昇志向で波風が激しかった昭和は、江川卓の能力と冷静さが讃えられ、対してさまざま価値感が変わった平成は、松坂大輔の明るさと爽やかさが愛された…そんな結論。もっとも記者は怪物といえば、好漢、快男児でなければいけない――頑迷な確信(?)を持っている。大輔はその容貌を含めふさわしい。気はやさしくて力持ち。西武→米メジャー→ソフトバンク→中日、厳しい状況の中でもおおむね笑顔で屈託がない(ようにみえる)。今春アクシデント、贔屓の引き倒しに会うのも、無防備な彼の美質、そう思ったりする。

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 競馬における怪物談。記者の知る昭和(戦後)の怪物は、やはりハイセイコーが元祖筆頭で、以後、平成への架け橋も含め、シンボリルドルフ、オグリキャップ…という構図になる。付け加えれば、そのニヒルな敵役に、わがロッキータイガー、イナリワンが存在した。ただ、少し記憶をたどれば、トウショウボーイ、ミスターシービーの名前が浮かび、そうなるとテンポイントも怪物の称号は十分で、以下、タケシバオー、カブラヤオー…記者テリトリーでいうならホスピタリティも外せない。収拾不能な中、改めて一つ思う。オグリキャップは、“怪”と“快”、その両面を備えていたこと。笠松出身、日本頂点をきわめたのはもちろん“快”で、しかしラストラン・有馬記念は、長く語り伝えられそうな怪しい勝利。さまざま深淵、ミステリアスな存在だった。

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 平成の怪物。ごく普通には、ディープインパクト――そのひとことでお終いだが、同馬の場合、軽やかすぎて完璧すぎて、“快”はあっても“怪”の部分が浮かんでこない。それならむしろオルフェーヴルか。稀代の強さは言わずもがな、しかし2012年阪神大賞典・逸走…という“怪”の方に、神秘性と不思議を感じる。競馬における怪物とは、“得体のしれないエネルギー”が、究極キーワードなのかもしれない。もう一つ。怪物という言葉にこだわるなら、芝エリートよりダート王者、手前勝手ながらそちらを強調したい気分もある。スマートファルコン、アジュデイミツオー、カネヒキリ…。で、そう回顧するうち、“アラブの英雄”を思い出した。競馬時代劇をきみは知るか…若いファンにそう問いただしてみたくなる。イナリトウザイ、トチノミネフジ、コスモノーブルなど、サラブレッドを凌駕した怪物、怪女。付け加えれば、昭和の親友・栗原正光は、そのアラブをこよなく、いや不見識、理不尽に寵愛していた。

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 「元号」に話を戻す。西暦と日本元号。堀江貴文氏(ホリエモン)「もういいかげん元号なんてやめにしたら。こんがらがって邪魔なだけ」そんなコメントを思い出した。感覚それぞれ。確かに記者、西暦=日本元号、いつも混乱困惑(冠婚葬祭時など)した事実があり、最近ようやく頭に計算式が備わった。昭和64年(平成元年)=西暦1989年。東日本大震災・平成23年=西暦2011年。ただロジータ三冠「昭和64年・平成元年」と考えれば覚えやすいし、格段、胸に深くなる。はたして元号は、要か不要か…?。それこそ不要に悩んでいたら、「Yahoo知恵袋」の素晴らしい回答でつかえがとれた。「西暦を取り入れたのは明治維新以降ですが、明治ハイカラ 大正ロマン 昭和レトロというだけでも、簡単にその元号の時代のイメージを持つことはできますね。元号とは刻にしおりをはさんでいるようなもの」。刻(とき)にしおりをはさむ…は、目にウロコの言葉であった。素敵な元号になるといいな――。いま、ごく素直に思ったりする。







吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




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