トップページ
2018.06.18更新

「長い一日」

 映画館のハシゴをした。名画座2本立てではなく、昼下がりのテアトル新宿、それから京王線で戻り、少し前にオープンした調布イオン。シニア身分(千円)になって珍しくない行動だが、いいときもあればそうでないときもある。ただ、その日の場合は失敗だった。選択、順番の掛け違い。「オー・ルーシー」「孤狼の血」。どちらも役所広司が熱演している。呑み込みが悪い記者のアタマは混乱した。何を混乱したかといえば、役所広司の人間性について混乱した。

 「オー・ルーシー」の役所は寂しいトラウマを持つ、元警察官、対して「孤狼の血」の役所はヤクザ担当、無頼漢の現役刑事。それを1〜2時間差で観てしまうと、どちらが役所の本性(?)かわからない。しかも荒くれ刑事は、さまざま辣腕をふるった捜査終盤、無残な水死体で引き上げられる。あと味が悪い。両極キャラクターを自在に演じる役所広司を敬服しつつ、あと味の悪さはしばらく消えない。もっとも何が失敗かはわかっている。孤老→ルーシー…の順番で鑑賞すれば、たぶんホッとした微笑くらいで家路につけた。

       ☆        ☆

 公園のハシゴをした。今が旬のあじさい祭り。初めて出かけた「多摩川台公園」は、田園調布近く、以前から東急沿線の知人に勧められていた。大田区、東急電鉄共同で開発、整備されたものという。あじさいは入り口付近に集中、終了するが、カタツムリの像などがさりげなく置かれ、雰囲気はきわめてよかった。外国人少年、その父親がゆったり遊んでいる風景も、やはり高級住宅地らしいのだろうか。うっそうとして、しかし気持ちのいい雑木林。園内に古墳(邪馬台国時代)多数。そちら目的の散歩者も多いと思う。

 東急・武蔵小杉から南武線へ乗り変え府中に出た。「郷土の森公園」もあじさい祭り。こちらはしばしば出かけるオーソドックスな植物公園。春先から、梅、桜、ツツジ、フジ、薔薇…などリレーのように咲き継いで、散歩者を飽きさせない。改めてのぞき込む。赤紫、青紫がむろん主流だが、ピンクとイエロー、そんな色彩が混じる花もあった。日本アジサイ、西洋アジサイ、ガクアジサイ。中で、ぱっと見は地味なガクアジサイに感動する。中心部などまるで宝石。ともあれこの時季、日本全土はアジサイに凌駕される。風情は違っても、4月・桜と同様のしたたかさと生命力。線路ぎわ、こんなところに…という場所で、ことさら輝きを放ってみせる。

      ☆        ☆

 野球場のハシゴをした。大学野球選手権、東京ドームから神宮球場。各地リーグ、その優勝チーム(27校)が一堂に会し覇を競う。ローカル色、対抗意識で(特に地方大学側)盛り上がり、観戦は年中行事になっている。ただ球場ハシゴは初体験。公休日の朝、スポーツ紙を眺めると見たい試合が分散していた。見たい試合というより見たい投手か。このピッチャーはいったいどんな豪球を投げるのか…。防御率とか奪三振数、数字データを見ているうち夢が広がる。スカウト気分。もっともこの大会、喫煙コーナーなどでは、日に焼けて体格のいい紳士があちこちで談笑している。失礼ながら胸のプレートをチラ見してしまう。「阪神タイガース」「西武ライオンズ」。本物だった。

 水道橋から信濃町(総武線)。神宮・第3試合、京都学園大学・川瀬航作投手はイメージ通りで満足した。2安打完封。足を高く上げるトルネード投法で、しかし横手からボールが出てくる。大きなフォームにもかかわらず低め制球が素晴らしく、結果内野ゴロの山を築く。182センチ、85キロ発表より巨漢にみえ、あるいは現在そこからさらに成長しているのかもしれない。一死一二塁のピンチ、打者は強い当たりのショートゴロ。6−4−3、注文通り。何よりこの試合の川瀬投手、味方が点を取ったとき、仲間をたたえ駆けよってくる、その心底嬉しそうな笑顔がほほえましかった。素人評価。変則の魅力も含め、どこかドラフトでかかると思う。

      ☆        ☆

 競馬場のハシゴ。南関東今年は4月30日〜5月1日に、船橋・大井リレー開催(実質2日間)が実施された。記者自身、当時チャレンジできなかったが、来週6月26〜28日、さらに8月3日など浦和(昼間)→大井(ナイター)。夏場だけでもまだまだ機会は残っている。こういうケース、予想を含め多忙繁雑にはなっても、反面やりがいがあるとは本音で思う。正直に書く。現在競馬専門紙、ごく世間的な感覚で520円(公営版)は高いと思う。ただこうしたダブル開催、2競馬場、計20数レースの馬柱と予想が掲載されれば、いわくコストパフォーマンスが一挙に上がる。少しはお役に立てた気分にもなる。

 思い出を一つ。もう十数年前になるか、船橋→大井リレー日で、記者は昼過ぎ船橋到着、7個レースほど観戦し、夕刻大井へ移動した。京成線「船橋競馬場前」乗車、都営浅草線〜京浜急行直通だから便利ではある。電車もすいていて、居眠りしたり新聞をめくったり快適な移動タイム。ふと向かい側の座席、ひと回りほど年上の男性が自分と同じ様子なのに気がついた。泉岳寺で乗り換えがあったかどうか。ともあれ記者と向かい側座席の見知らぬ先輩、およそ1時間半小旅行ののち、「立会川」でほぼ同時に立ち上がり視線が合った。もちろん握手はないけれど、思わず苦笑しあったことを覚えている。今思う。ただただ長い一日だったか、それとも充実の一日だったか。





吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




【バックナンバー】




格安「新聞」印刷

個人のお客様も歓迎!
結婚記念日や還暦のお祝いなどにどうぞ。
料金は41000円(税別)からと格安でお請けいたします。一生に一度の記念日に、あなたが1面を飾る素敵な新聞はいかがですか?

その他にもフリーペーパー、個展・コンサート・学園祭などイベントのチラシ、地域コミュニティ紙、各種後援会会報、販促ちらし、学生新聞など予算を抑えつつ大量に必要な場合に最適です。 まずは下記ページをご覧になり、メールにてお問い合わせください。不明な点などがありましたら、丁寧にご説明いたします。

■お問い合わせ
  sanpei01@nikkankeiba.co.jp

詳しくは≪有限会社三平印刷所ウェブサイト≫をご覧ください。




日刊競馬トップページ
株式会社日刊競馬新聞社 東京都品川区大崎1-10-1