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2017.01.06更新

「何がめでたい…」

 元旦の朝晴れて 何かいいことあるごとし――。毎年書くことだが、元旦の朝とは、いつもすっきり青空というイメージがある。目がさめて窓を開けると、頭の中に昨夜のアルコールが70%くらい残っていても(日刊競馬、大晦日は恒例の社内打ち上げ会)、意外なほど回復しておおむね爽快。実際今年も午前8時、わが団地ベランダから富士山が眺望できた。思わず深呼吸…だけならいいのだけれど、このケース、なかなか悪習は断てないもので煙草一服。そのあとテレビをつけると、「ニューイヤー駅伝」が始まっていた。記者、お約束の元旦ではある。

 元旦の晴天率。調べてみると、記憶違い、印象違いでもないようだ。86・7%(東京・近30年)…には正直驚く。11月3日「文化の日」、10月10日「体育の日」も気象特異日といわれ、しかし両日とも60〜70%程度らしいから、元旦のそれは奇跡に近い。日本とはやはり風土、気候に恵まれ、さらに神秘的な何かまで享受している…改めてそう思った。ある意味、ネバーランド=理想郷がめざせる稀少な国。対トランプさん外交はどうなるのか。いずれにせよ原発再稼働…などひとこと論外。現実に2011年3月、そのモンスターは“日本全滅”の恐怖にまで人びとを追い詰めている。

     ☆       ☆

 12月29日「東京大賞典」。意外と納得…が入り混じるような結果になった。アポロケンタッキーの勝因は、父ラングフール(アーリントンミリオン=ジャンバラヤなど輩出)から受け継いだパワーと爆発力。そして何より、直線入口で一気に仕掛けた内田博幸騎手の勇気と決断が大きいだろう。「やっぱりここ(大井)は、乗りなれた人じゃないと…」 山内研調教師のコメントが的を得ている。アウォーディーは、記者私見だが、前のコパノリッキー、後ろのアポロケンタッキー、サウンドトゥルー、どちらを相手にみるか、武豊Jに少し迷いがあった気がする。勝負の危うさ、機微というもの。ほんのわずかなタイミングが、競馬の場合、ゴールでは1馬身、2馬身差になっていく(今回1馬身1/2)。

 ともあれアウォーディー。パドックで見つめ、改めて美しい馬とため息が出た。小さめの頭、やさしい首さし、すらりとしなやかに伸びた四肢。凛としてなおかつ柔らか。気品があって風格がある。実は記者、馬体とか歩様とか専門的なことはまるでわからないのだが、ただただ無条件でほれぼれする。母ヘヴンリーロマンス、妹アムールブリエ、弟ラニ。号令がかかり、武豊騎手がひらりと乗ると、さらに美しい一枚の絵になった。たぶん誰もがうっとりするザ・サラブレッド。Awardeeとは“受賞者”の意味らしい。ただそれでも、勝ち続けることは難しい。競馬における勝負とは、10のうち6が実力、しかし残りの4は、誰にも解明できない運…だと思う。

     ☆       ☆

 あくる30日。帰りがけ、沿線にある下高井戸シネマ(名画座)で「ビートルズ・エイトデイズアウィーク」を見た。9月下旬、ロードショーを立川で見ているから反すう鑑賞。ただ記者は、中学生のころからもう50年に遡る強烈なビートルズ信者であり、何度見ても、そのたび心が波立ち浮き立ってくる。ジョン・レノンほど素敵でカッコいい声を持つシンガーは不世出…その持論は誰が何をいおうと曲げられない。還暦過ぎのジイさん(むろん自分のこと)が、興奮、高揚して前の席を蹴りたくなるから恥ずかしい。一緒に口ずさんでいるうち涙が出てしまうことさえある。

 ビートルズの誕生、成長(変化)、そして解散。ポール・マッカートニーがメインの語り手になっている。4人の結束、友情、不仲説もあったジョンへの敬意。歴史省略が多くドキュメンタリーとしては不完全、放り投げた印象もないではないが、信者にとってはやはり何もかもが懐かしい。そしてもう一つ、妙に嬉しかったのは、ポールが“ちゃんと年をとっている”こと。童顔(ビートルズ時代)に刻まれた深いシワ、話す声も変わらぬハイトーンながらハリを失い、しかし表情は柔和で穏やか。ああこれが時の経過か…まさしくそんな感慨があった。彼はかつて「When I'm 64」という名曲を作っている。「僕が歳をとり 髪が抜けたとき それでも君は バレンタインや誕生日に お祝いの言葉や、ボトル・ワインを贈ってくれるかい?」。現実にいま74歳。もっとも今年2017年4月来日、東京ドーム公演が、すでに決定しているらしい。

     ☆       ☆

 佐藤愛子「九十歳 何がめでたい」を読んだ。昨暮れから50万部突破のベストセラー。題名通り本音辛口のエッセーで、その文章は明快で歯切れよく、大半うなずきながら読了した。抜き書きを少し。「保育園に子供の声がうるさいと苦情をいう人。日本人の感性が変わってきたのか心配になる。子供の歌声、歓声は、もともと希望だったはずなのに…」「私たちが美しいと思うものを若い人はそう思わないし、逆に若い人が美しいと思うものをわれわれ(高齢者)が受け入れない事実もある」。「80代までは自分の年なんか忘れていたけど、90歳になったら急に肉体的な衰えが出て、くたくたになった。耳は遠くなるし目は悪くなる。“何がめでたい”とは、そういう思い…」。

 近年しばしば実感がある。何もしないのに今日は疲れた…そんな日が増えたこと。愛子女史93歳、記者63歳。ナサケないが、これはたぶん生まれ持った人間の力量差、そして言い訳めくが男女差でもあるだろう。疲労原因をネットで見たら、ビタミン、タウリン、アルギニン…の欠乏。で、さらに検索を進めると、補給飲料、安価かつ効果の点で「レッドブル」が第1位に推されていた。疲労回復、滋養強壮…そんな言葉に中〜高年はめっぽう弱い。もっともこのドリンクは、わが営業部N雲後輩に勧められて何度か飲み、けっこう爽やか、少しシャンとするような気分もあった。「63歳 何がめでたい」。めでたくはけっしてないが、一瞬一瞬を愉しみ味わうのが最上であること。つまらない結論で申しわけない。2018年、1月6日、そう思った。





吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




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