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2017.12.22更新

「師走のおもちゃ箱」

 新宿のデパート8階で友人と昼食会。そのあと一人になって、ふと思った。1つ上は屋上だろうか…。昇ってみた。踊り場付近からペットショップ、家庭菜園系のコーナーがあり、さらに1つ上がって自動ドア、それを開けるとバーベキューガーデンが広がっていた。小学生、お父さん、お母さん、その祖父母らしい70歳台まで、誰もが元気はつらつ、嬉しい笑顔が弾けている。まだるっこしい話で申しわけない。要するに“デパート屋上の楽しさ”は健在だったということ。記者ほぼ満腹なのに、思わずソース焼きそばの列に並び、結果的に完食した。

 デパートの屋上にはなにやら郷愁が深い。子供のころデパートに出かけたのは、年2〜3回ほど。映画館でディズニーを見て、その後デパート大食堂で昼食をとり、それから屋上の小さなメリーゴーラウンド…が定番だった。数少ない家族行事。いや家族行事というより、学期が無事終わり通信簿をもらったあとの母子行事。ヨシカワ小学3年生、2歳上の姉と一緒にエビフライを最初に食べたときは、ワクワクしてドキドキした。母親は、なぜかいつもちらし寿司だった。父親はいなかった。会社があったのだろう。昭和30〜40年代、当時の家族事情とは、小津安二郎監督の描く世界にたぶん近い。

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 ここしばらく「神保町シネマ」にハマっている。昔からある名画座。9月に「倍賞千恵子特集」をたまたま見て感銘しきり、以後「赤木圭一郎」「クレージーキャッツ」「女優で見る文芸映画」…熱心かつコアなファンに定着した。100席ほどの小さい劇場。全日4回入れ替え制で、たとえば倍賞千恵子さんのシリーズだと、「下町の太陽」「踊りたい夜」「霧の旗」「小さいおうち」…違った時間帯で上映される。それぞれ4作品、好きなものを各人都合で見られること。素晴らしい。もっとも「阿佐ヶ谷ラピュタ」「目黒シネマ」などもほぼ同様のシステムだから、名画座とはやはり永遠不滅…ということだろう。

 「渡辺プロダクション」特集の「会社物語」がよかった。ハナ肇さんはその1988年、ブルーリボン男優賞に輝いている。メモリーズオブユーの副題。本人ドラム、植木等ギター、谷敬トロンボーン、桜井千里ピアノ、犬塚弘ベース、安田信クラリネット。当時クレージー7人、ベテラン円熟の域に達したころで、なんとも絶妙な味が出ていた。物語は、商事会社で長年誠実に勤めてきたハナ肇が定年直前を迎え、そこから一念発起してバンド経験者を募り、社内コンサートで喝采を浴びる、そんなお話。「メモリーズ…」は、誰もがどこかで聞いた曲だろう。抒情的、ゆるやかな大人のジャズ。ハナ肇の“ひそかな恋人”役になっていた西山由美さん。その可愛らしくせつない表情にも、改めてため息が出たりした。

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 今さらの話。師走のおもちゃ箱…といえばやはり競馬だ。きらきら眩しいような中山・有馬記念、野太く重厚な大井・東京大賞典。ただ近年、記者個人的な愉しみは、その前週に定着した浦和競馬と思い当たる。今年は18〜22日、ずっと冬晴れ、師走晴れが続いたからなおさらよかった。現在、南関東唯一の昼間開催、最終レース4時きっかりのファンファーレ。暮れかかる青空、ひとすじの白い雲、茜色の夕焼けをバックに、馬たちが砂煙をあげて疾走していく。背筋にしみる北風、足元からの底冷え。それも風物詩とうなずきつつ、1年の終わり、いやしかしもう1週間…という微妙な感慨に浸ること。凛とした哀愁--あえてひねり出せばそんな言葉か。

 開催メイン、20日「ゴールドカップ=SII」は、白熱の勝負となった。ソルテ、ケイアイレオーネ、キタサンミカヅキ、3頭横並びのゴール。結局、頭・鼻差で明暗が決した。観戦者が味わった興奮、緊張感というなら、あるいは今年の南関東ベストレースだったかもしれない。復活ソルテの底力、レオーネ=的場文男の執念、ミカヅキの意外な器用さ。それぞれ完全燃焼、少なくとも全力投球の競馬にみえる。そしてこの3頭、すべて熟年の7歳馬…という事実も、記者など少し嬉しかった。

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 屋上が好きなら…と、同年代の友人に言われた。おススメは「蒲田東急プラザ」。出かけてみた。ネットで下見、人気、盛況をイメージしたが、平日の昼下がりだったせいか、閑散としていた。若い母親、幼稚園児…が3組ほど。それでも、頼りなくやさしい陽射しのもと、母子なごやか満足そうにソフトクリームなどなめている。幸せな風景。かたわらで世界で一番小さい(?)観覧車が回っていた。1回300円。少し迷ったが、さすがに乗らなかった。ただしかしホッとする空間。黄昏のおじさんがやすらげる場所として推奨できる。もう一つ。この屋上には、ゆったり広い“喫煙コーナー”が、設置されていたことを追記する。







吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




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