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2017.05.14更新

「When I'm 64」

 「ポール・マッカートニー」を見てきた。東京ドーム。自分で手配したのではない。友人がご夫婦で行く予定のチケット、奥さまに急用ができてヨシカワにお声がかかった。まるで予期していないことだったが、もちろん嬉しい。思えばずいぶん前からその分野には縁遠くなっていた。気持ちはあっても、めんどう、おっくう…。笑わないでもらいたい。記者、会社仕事ではパソコン、メールなどひとまず使うが、個人単位、たとえばID、log inなどといわれただけで、とたんに目の前が真っ暗になる。だから、ネットとか、コンビニ販売もカヤの外。今回はラッキーだった。

 何年ぶりかという東京ドーム。記憶を必死に引っ張り出すと、それは「グランド・ファンク・レイルロード」に遡った(ドームではなく後楽園球場)。覚えている方があるだろうか。代表曲「ハートブレイカー」。むろんハードロックだが、日本人好みの煽情的なメロディーで、これは井上陽水「傘がない」の作曲原(本人談)ともされている。まあそんなことはどうでもいいか。ともあれ当日6時半開演、30分前水道橋駅に降りて驚いた。予想を超える大観衆はもちろん、その年齢層が圧倒的に高いこと。記者63歳よりむしろ先輩が多くみえた。右往左往しながらなんとか着席。「一塁側2階 9列239番」は、ライトポール際だった。ステージはセンター位置付近だから相当遠い。競馬用双眼鏡を忘れてきて後悔した。瞑想しようかとも思ったが、会場はその雰囲気でもない。

       ☆       ☆

 ともあれコンサート。結論からいえば大満足だった。いや、満足というより満腹の言葉だろうか。アンコールを含めおよそ160分出ずっぱりで、手を抜いた時間がいっさいなかった。ビートルズナンバーが3分の2、あとウイングス、自身のソロ。「ハードデイズナイト」で始まり、「イエスタデイ」「エリノアリグビー」があり「ヘイジュード」があり、終局「バンドオンザラン」「ゴールデンスランバー」も素晴らしかった。信者としてはやはり一曲ごとに緊張して背筋が伸びる。記者個人は「ブラックバード」にうっとりした。自身が弾くフォークギターの旋律に、自らの歌が見事に絡む。静寂と躍動。うまく説明できない。いずれにせよ、なまなかな才能ではないということ。ビートルズのよさ、ポールのよさ。それはたぶん“手作り”ということだ。

 ライヴを聴きながらつらつら思う。近年ポールマッカートニーは、ビートルズの語り部…としての役割が大きくなった。ジョンレノンが凶弾に倒れ、ジョージハリソンが病に倒れ、もう一人リンゴスターは現役、魅力的な人ではあるけれど、音楽的なビートルズ中枢には少し遠い。音楽雑誌、ネットなどでインタヴューをいくつか読んだ。不仲説もあったレノンに、おおむね親密、敬愛の言葉を繰り返している。「ジョンがいい曲を書いたら、それに負けない曲を作ろうといつも意識を高めてきた…」。キレイゴトという論評があった。しかしそのキレイゴトを、淡々と穏やかに語れる事実が、時の流れ、そして年輪というものだろう。ポールはちゃんと年をとっている――改めてそうも思った。

       ☆       ☆

 10時前終演、鳴りやまない大拍手。永遠の天才が最高潮のうちにステージを去り、しかし以後30分ほども座席から立てなかった。入場規制ならぬ退場規制。それほど場内が人、人、人…であったこと。改めて周囲を見渡す。高年齢層とは先刻書いたが、夫婦、カップルより、古い友人同士…そんな組み合わせが多い気がした。実際記者と友人は学生時代のバンド仲間。そのころレッドツェッペリンとかディープパープル、一緒に行った記憶(たぶん武道館)がおぼろげながら残っている。気恥ずかしいけれど、やはりそれは、きらきらドキドキした青春時代。ようやく動き出した人並みの中で、もう一度思ったりする。自分は今日なぜここに来たか。今もポールを愛しているのか、あるいはポール(ビートルズ)を好きだった自身への郷愁か――。結局、JR水道橋駅は飽和状態。坂道をゆるゆる下って神保町からメトロに乗った。

       ☆       ☆  1時間後、帰宅してひと息ついた。本当に寄り道する時間がないのか、あるいは明日を考えてしまう年齢なのか。ともあれCDプレイヤーをつけ、しばらく余韻に浸ってしまった。改めて名曲が多く、迷いがあって混乱する。ひとまず今夜、心にしみた「ブラックバード」「エリノアリグビー」。その後「When I'm 64」をかけた。ポール作詞作曲、ほんわりとしたビルボード調。「♪僕が歳をとり 髪が抜けたとき それでも君は バレンタインにバースデイに お祝いの言葉 ボトルワインを贈ってくれるかい?」 数えてみると当時彼はまだ20代中盤だった。それから50年。人生などあっという間…やはりそうとしか言葉がない。記者と友人は63歳。そしてポールは今年74歳を迎えている。

 聴きながら何を飲むか。ポールは大酒飲み…という説もある。2014年来日ツアー中止、一部でその理由「二日酔い」などとも報じられた。英国人だからやはり黒スタウトかスコッチか。拙宅にはサントリー角瓶しかなく、結局、炭酸水割りのロックにした。満足と満腹、同時にやれやれという疲労感、そして睡魔。ラストナンバーは、まるで季節外れを承知で「ハッピー・クリスマス」にした。これ、好きなんだよな。記者ポール信者だが、実はそれ以上に、ジョン・レノン信者でもある。







吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




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