トップページ
2018.08.16更新

「2018 夏のチカラ」

 「ビリー・ヴォーン・オーケストラ」を見てきた。その日、急用ができた友人から突如いただいたチケット。イメージはいにしえのダンスバンド、日本人好みのイージーリスニング…正直どうしようかと迷ったが、結果的に行ってよかった。フルバンドの迫力、存在感はまさしくさすがで、同時にアメリカンポップスの奥行き、幅広さも改めて体感できた。ウキウキしたり、しみじみしたり。命に関わる…ほどの猛暑の中、少なからず元気が出た。友人に感謝。もっとも開演ウィークデー午後2時で、他に回す人がいなかったのかもしれない(記者たまたま公休日)。

 ステージは総勢20人あまり。ピアノ、ギター、ベース、ドラム…のリズムパート4名は当然として、サックス(クラリネット・フルート持ち替え)5名、トロンボーン、トランペット、それぞれ4名だから厚みがある。あと、曲によって加わる女性シンガー3〜4名。フルバンドの構成とはどんなものか、おおよそ理解、認識できた点も記者的には収穫だった。そして思い浮かんだといえば、クレージーキャッツ・プラスαのメンバーをバックに、ザ・ピーナッツが歌う光景。古い話ですみません。「シャボン玉ホリデー」の世界である。

 あいまいあやふやな懐かしさ、ノスタルジー。ただビリーヴォーン楽団、本質イージーリスニングではなくスタンダードジャズだった。記者、大きな誤解。代表曲「浪路はるかに」「真珠貝の歌」…など、日本人好み抒情ハワイアンもむろん演奏されたが、「テンダリー」「茶色の小瓶」「イン・ザ・ムード」、さらに「シング・シング・シング」、そちらによりイキイキとした魅力があり、同時にメンバー自身もそういう曲の方にノリがよかった。数年前見た「ベンチャーズ」、似ているけれど微妙に違う。優劣ではもちろんない。ビリーヴォーンは、たぶんより国際派なのだと思う。

        ☆       ☆

 聴きながら、らちもないことが頭に巡った。記者自身、はるか昔の悔いというやつ。50年前、中学生ヨシカワはブラスバンド部に入っていた。14歳、初めて手にしたトランペット。数日猛特訓(のつもり)、最初に音が出たときは嬉しかった。金管楽器は難しい。曲を吹くとか楽譜を読むとか、それ以前に、ただプーという音を出すだけで相当の時間がかかる。当時ブラスバンド部は週イチの朝礼後、行進曲演奏が仕事だった。スーザというアメリカの作曲家。「雷神」「ワシントンポスト」「星条旗よ永遠なれ」…などに憧れたが、レベルがまるで届かなかった。1年間ずっと「士官候補生」という曲。ただこれもやさしいわけではない。聴けば、誰もが行進したくなる(?)名曲である。

 自分の悔い。中学生ヨシカワがそこで無為に過ごしたこと。その年齢、さまざま多感、目移りは当然としても、好きなこと、やりたいことがぼんやりとして定まらない。それこそ24時間ちんたらふらふら。個人練習はもちろん全体練習もしばしば休んだ。3年生の夏、久しぶりに出かけた部室で同級生女子にこう言われた。「ヨシカワくん、どうして下手なくせに練習しないの?」。非難というより、心底不思議そうな真っすぐな目。ひねりも何もない話だが、なぜかときおり思い出し一人赤面したりする。年齢以上の愚かさ。力を合わせ何かを創りあげる素晴らしさ…それに気づかなかった自分に赤面する。優秀なフルート奏者、清廉な美少女であった彼女は、その後音大へ進み同窓ドイツ人と結婚、ニューヨークで音楽活動を続けているとどこかで聞いた。まあこれはオジさんの感傷でしかもちろんない。

       ☆        ☆

 閑話休題。コンサートに行く、その公演後、きまって体がポカポカ温まっているという意見がある。複数の知人、友人から聞いたから、あながち錯覚でもないのだろう。今回ビリーヴォーンの場合、故人ビリーの孫娘というシャンテネ・ヴォーン嬢が日本語で司会進行、なおさらハートウォーミングだった。多くのヒット曲も含め、確かにこれ以上ない日本びいきのプログラム。ただそれは営業的というより、会場一体を楽しませたい、同時に自分たちも楽しもう…そんな雰囲気。アンコールはオリエンタルでエキゾティックな「キャラバン」だった。拍手が鳴りやまず、しかし改めて周りを見回すと、意外なほどお一人様中高年が多かった。お家でCD、DVD…なら涼しく楽ちん。ただしかし、それではどこか気持ちが弾けない部分があるかもしれない。

       ☆        ☆

 「夏のチカラ」を思った。猛暑を乗り切る、あるいはやり過ごす…その特効薬、少なくとも糧となるもの。音楽のチカラ、映画のチカラ、演劇のチカラ、落語のチカラ。もちろん野球のチカラ、競馬のチカラ…。実際この夏、甲子園中継には元気をもらった。何となれば100回記念、レジェンドによる始球式。スポーツ紙に載った名前を見ただけでワクワクした。松井秀喜、谷繁元信、水野雄仁、桑田真澄…。アスリート卒業、それぞれ新たな道を歩む彼らが、ここでどんな一球を投げるのか。そして現実。8月5日開幕日に“登板”した松井秀喜は、彼らしくもない緊張とリキみか、ワンバウンド暴投で自らの頭を抱えた。まあしかし、ごく素直に微笑ましい。星稜高校恩師・山下智茂元監督のコメントがあった。「本人、野球人生の中で最高の一日といっていました。国民栄誉賞を受賞したときと同じくらい…」。予定通りなら21日決勝戦、その日は太田幸司氏が登板する。

       ☆        ☆

 この夏、競馬のチカラ…は、いうまでもなく的場文男騎手。8月12日、大井競馬第5R、シルヴェーヌ号で日本最多勝記録(佐々木竹見)を塗り替えた。競馬場ライブではなくМX中継、しかもワンセグ視聴だから情けないが、それでも深く感じるものはやはりあった。7152勝、気が遠くなる数字以上に驚いたこと。的場騎手は2010年に6000勝到達。ただこのときは記者周辺、ファン仲間、たぶん誰もが「まさか…」と実は思った。アンチでも皮肉でもなく、年齢(当時53歳)があったから。50代、それも後半にかかってからの体力、気力、モチベーション維持は難しい。レベルはさておき記者も日々実感する。がしかし、現実に的場騎手は達成した。150勝×7〜8年が自分のペース。もしかすると本人は、「大変だけれど、当たり前のこと」、そう考えていたかもしれない。普通の人ではない。

 磨かれたスキル、不屈の闘志…。賞賛の言葉は限りなくあるが、記者自身は的場文男、騎手としてアスリートとして、自然流の生き方が成功したように、いま思う。素直で明朗、常に前向き。素晴らしいお手本であった先輩、佐々木竹見、赤間清松、高橋三郎。切磋琢磨をともにした優秀な同期、石崎隆之、桑島孝春、森下博。新しい励みとなった内田博幸、戸崎圭太…。結果的に、おおむね周囲がみな、自身の追い風になったことも大きいだろう。いずれにせよ、的場文男はまぎれもなく元気の象徴??。竹見さんの祝福コメントに味があった。「的場君は少し焦るところがありますから、これから焦らず、気をつけて乗ってください。新記録おめでとう。そしてありがとう」。

       ☆        ☆

 話を戻す。ビリーヴォーン会場は、神奈川県の多目的市民ホール。演劇、コンサートなどは、エレベーター直行2階だが、待ち時間、1階エントランス付近でうろうろしていると「健康麻雀教室」に遭遇した。広い会議室風スペースにびっしり並べられた麻雀卓がすべて満席、中高年男女で大いに盛り上がっている。チラシをみると月3回、初心者向け教習講座もあるらしい。健康麻雀とは何か。「賭けない 飲まない 吸わない」。若き日々、それこそ不健康な麻雀に浸りきってきた記者とすると今さら…だが、やはり時代と風潮は変化している。ボケ防止はもちろん、仲良くなれるチカラ、笑顔になれるチカラ…。で、大した脈略もないが一つ思い当たった。年をとったらキゲンよく??。記者的にはいま、座右の銘にしたい言葉でもある。





吉川 彰彦
Akihiko Yoshikawa

日刊競馬南関東公営版解説者

スカパー!・品川CATV大井競馬解説者、ラジオたんぱ解説者
 常に「夢のある予想」を心がけている、しかしそれでいてキッチリと的中させるところはさすが。血統、成績はもちろんだが、まず「レースを見ること」が大事だと言う。その言葉通り、レースがある限り毎日競馬場へ通う情熱。それが吉川の予想の原点なのである。




【バックナンバー】




格安「新聞」印刷

個人のお客様も歓迎!
結婚記念日や還暦のお祝いなどにどうぞ。
料金は41000円(税別)からと格安でお請けいたします。一生に一度の記念日に、あなたが1面を飾る素敵な新聞はいかがですか?

その他にもフリーペーパー、個展・コンサート・学園祭などイベントのチラシ、地域コミュニティ紙、各種後援会会報、販促ちらし、学生新聞など予算を抑えつつ大量に必要な場合に最適です。 まずは下記ページをご覧になり、メールにてお問い合わせください。不明な点などがありましたら、丁寧にご説明いたします。

■お問い合わせ
  sanpei01@nikkankeiba.co.jp

詳しくは≪有限会社三平印刷所ウェブサイト≫をご覧ください。




日刊競馬トップページ
株式会社日刊競馬新聞社 東京都品川区大崎1-10-1